【令和8年・新米特集】おいしいお米ができるまで。生産者に聞く、米づくりへの想い

基礎知識
基礎知識
毎日の食卓に欠かせない「お米」。
その一粒一粒には、生産者のたくさんの手間と想いが込められています。
今回はお米づくりに携わる生産者に、日々大切にしていることや、嬉しいと感じる瞬間などについてお話を伺いました。
お米がどのように育てられ、私たちの食卓まで届いているのかを知ることで、いつものごはんが特別に感じられるかもしれません。
この記事を通して、いつもの一杯のごはんをこれまでより少し身近に、そして大切に感じていただければ幸いです。

今回お話を伺った生産者

今回は、アグリベジフルの西村和修様にお話しをお伺いしました。

福井県福井市でハナエチゼンやあきさかり、コシヒカリなどを生産されています。

アグリベジフル 西村和修様

育てている田んぼの面積は約20町!東京ドーム約4個分の面積です…!

とても広いですね…!

普段は、コシヒカリを召し上がっているそうです。

※1町…約10000㎡

お米づくりへのこだわりと想い

お米づくりで大変なこと

Q
お米を生産されるうえで、特に大変だと感じることは何ですか?
A
農作業のほとんどを一人で行っているため、特に春は大忙しです。
荒起こしや代かき(しろかき)、田植えなど、さまざまな作業を短い期間で進めていきます。

なかでも、苗を植えてからの最初の1か月が、いちばんの勝負どころです。
暑い時期でも草刈りは欠かせず、熱中症アラートが出ている日には、空調服を着用しこまめに水分補給をしながら作業することもあります。

ここ2、3年は雨が降らないことが多く、田んぼへ十分な水が入らないことも増えてきました。水がなければ、稲は枯れてしまいます。
実際に昨年、稲が枯れてしまった場所には、今年、自分でパイプラインをつくり、水を引けるようにしました。

お米づくりのコストを抑えるために、工夫できることの一つが人件費だと考えています。
一人でも効率よく作業を進められるよう、必要な農機具を数多くそろえ、作業しやすい体制を整えてきました。
将来的には、農業を続けることが難しくなった方から田んぼを任せてもらえるよう、より多くの農地や農機具を管理できる体制づくりに取り組んでいきたいです。

※荒起こし…田んぼの土を起こす作業

代かき…田んぼに水を張り、土を砕き田んぼの表面を平らにならす作業
田んぼは一か所にまとまっているのではなく、いくつもの場所に分かれているそうです。
そのため、トラックに除草剤や草刈り機を積み、田んぼを巡回することも多いとのことでした。
移動だけでも時間がかかるため、日々の管理の大変さが伝わってきます。

お米づくりで大切にしていること

Q
お米を生産されるうえで、特に大切にされていることは何ですか?
A
お米は毎日口にするものだからこそ、農薬や肥料の使い方には特に気をつけています。
できるだけ余計なものを使わず、安心して食べてもらえるお米をつくりたいという思いがあります。

除草剤は、通常の使用量のおよそ半分に抑えています。
田んぼに使用する農薬についても、使用基準の範囲内で、できるだけ成分量が少なくなるように調整しています。
また、カメムシ防除の回数をできるだけ減らせるよう、早めの予防を心がけ、必要に応じて防除を行っています。
「少ない農薬で、おいしいお米を」という思いを大切にしながら、安心して食べてもらえるお米づくりに取り組んでいます。
「なるべく農薬を使わずに」「農薬はできるだけ少なく」という言葉が、とても印象に残りました。
安心して食べてもらえるお米を届けたいという、安全への高い意識と、お米づくりに対する強い情熱が伝わってきます。

お米をつくっていて、うれしいと感じる瞬間

Q
お米を生産されるなかで、うれしいと感じるのはどのような瞬間ですか?
A

お米を食べた方から「おいしい!」と言ってもらえると、やっぱりうれしいです。
家族や友人が、自分の作ったお米を食べて「今年のお米もおいしいね」と声をかけてくれたときは、「今年もお米づくりをやっていて良かったな」と感じます。
また、自分が作ったお米でなくても、これまでパンや小麦を中心に食べていた方がごはん食に変えて、「体の調子が良くなった」と感じてくださるなど、「お米を食べていて良かった」と思ってもらえることもうれしいです。
あとは、全体的に小粒のお米が多い年でも、自分が育てたお米は網下米(あみしたまい)がほとんど出ず、一粒一粒がしっかりと育っていると、喜びを感じます。
※網下米…網(1.7~2.0㎜程度の網目)でふるったときに下に落ちた、小粒や未熟なお米のこと

令和8年産米の出来はいかがですか?

Q
今年の新米の出来はいかがですか?

A
今年は、全体的に粒の小さいお米が多くなる可能性があります。

肥料が早い時期に溶け出し、生育の後半まで十分に効かなかったことや、分げつが進みすぎたことなどが、原因として考えられます。
収量についても、例年より少なくなる可能性があります。
今年は虫が活動しやすい気候が続いているため、着色粒が多くなっていることも、収量に影響すると考えられます。

地域によっては、田んぼに十分な水を入れられず、少ない水で稲を育てている農家もいると聞いています。
今後の天候や水の状況も、お米の出来に影響しそうです。

※分げつ(ぶんげつ)…茎の根元から新しい茎が分岐して出ること

おすすめのおいしい食べ方・レシピ

Q
お米のオススメの食べ方はありますか?
A
一般的には、卵かけご飯でしょうか。
とろろをのせて食べたり、焼いたお肉とお米を一緒に食べたりするのも好きです。

でも、やっぱり一番は、熱々のごはんに大根おろしをのせて、醤油をかけて食べることです。
さっぱりしていて、いくらでもごはんをかき込めます。
これは昔、市場で大根を販売していた頃に、「大根のおいしい食べ方はないかな」と考えて生まれた食べ方です。
大根にはジアスターゼという消化酵素が含まれているので、お肉を食べるときにもおすすめです。
ポン酢をかけるとさらにさっぱりして、焼き肉にもよく合います。

とても美味しそう…!
ちなみにお米ではありませんが、大根のカツや肉巻き大根もオススメとのことです!
試してみたいですね…!

お米を食べてくださる皆さまへ

米づくりは、ただ苗を植えればできるというものではありません。

山から流れてくる水を使う場合でも、ポンプでくみ上げて田んぼに送るなど、管理には費用がかかります。
さらに近年は、肥料や農薬、燃料、農機具など、お米づくりに必要なものの価格も上がっており、生産にかかる負担は年々大きくなっています。

炎天下での作業をはじめ、普段は見えにくいところにも、さまざまな手間や苦労があります。

少しでも安いものを求める気持ちは分かりますが、お米の価格には、こうした生産に必要な費用や手間も含まれています。
その背景を知ってもらい、ある程度の価格には納得していただけたらうれしいです。

どの生産者も、一つひとつの作業に手間をかけ、丹精込めてお米を育てています。
お米づくりの背景を、少しでも知っていただけたらと思います。

最後に

今回お話を伺い、私たちが普段何気なく口にしているお米は、決して当たり前にできるものではないことを、改めて感じました。

田植えや草刈り、水の管理など、お米づくりには季節や天候に合わせたさまざまな作業があります。
その一つひとつに丁寧に向き合いながら、農薬の使用をできるだけ抑え、安心して食べていただけるお米を届けたいという思いを込め、大切に育てられています。

近年は、水不足や資材価格の上昇など、お米づくりを取り巻く環境も厳しさを増しています。
そのような中でも、より良いお米をつくるために工夫を重ね、日々真摯に田んぼと向き合われている姿が、とても印象に残りました。

私たちが毎日いただいている一杯のごはんには、生産者の方々のたくさんの努力やご苦労、そして「おいしく食べてもらいたい」という温かな思いが込められています。
これからお米をいただくときには、その背景にも思いを寄せながら、一粒一粒を大切に味わっていきたいと思います。

この度はお忙しい中、貴重なお話をたくさん聞かせていただき、本当にありがとうございました。
お米づくりへのこだわりや思いを伺うことができ、私たちにとっても改めてお米の大切さを感じるとても貴重な機会となりました。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

コメント